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無茶子の自作ノベルゲームに関する情報ブログです。

もうすぐ!

ハロウィンタウン・シンドロームまもなく公開です。
今夜、公開作業を行いたいと思います。

さて、公開直前ということで、
まぜのべの方で素晴らしい二次小説を
書いてくださった方がいらっしゃったので、
本記事で紹介させていただきたいと思います。

素晴らしい二次小説を書いてくださった
オロチ丸W0632Aさん、ありがとうございます!
ほぼ設定公開前のイラストだけでここまで書いて下さるとは……!

ちなみに、一枚絵ごとのショートみたいな感じで、
それぞれ一つ一つに繋がりは無いです(多分)


元記事はこちら
(URL貼らせていただいておりますが、
まぜのべ内の日記なので、アカウントの無い方はアクセスできません。)

では、続きからどうぞ!
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「トリック・オア・トリート!」
 紫髪のツインテール少女は、そう言うと意地悪な笑みを浮かべた。
 右目用の眼帯を付け、血の付いた包帯で髪をまとめており、
 いかにもハロウィンと言ったところか。
 だが、僕は見知らぬ相手に奢る趣味は無い。
 ただでさえ金欠なのに、ハロウィンに参加してなどいられない。
「すまないが、僕はお菓子を食べないんだ。だから家にも無い。だから、他の家を当たってくれ。
 あ、悪戯とかしたら、祓魔師(エクソシスト)を呼んで退治してもらうから、絶対にしないように」
 まぁ、断り文句はこんなところで良いだろう。
 僕は参加する気が無いが、折角の気分を台無しにするのも可愛そうだ。
 お化けか何かになり切っているのだから、
 祓魔師という言葉で止めれば、悪戯もしないでくれるだろう。
「じゃあ、仕事があるから、僕は戻らせてもらうよ。次の家では、お菓子沢山貰えると良いな」
 そう言って、僕はドアを閉めようとした――のだが。
 「アハハハハハ!! 駄目だよ、人間のお兄ちゃん。
  お菓子か悪戯か、ってアタシ言ったよね。お菓子くれないなら
  ……悪戯しちゃうよ!!」
 彼女に言葉を返す――それすら出来ぬほど早く、唐突に僕の意識は薄れていき、
 闇に飲まれていった。
 抗う事など、出来なかった。


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「ようこそ、僕たちの世界へ!」
 そういうと彼――いや、彼女なのか?どうにも性別が判断できない――は左手を差し出した。
「あ、あぁ、よろしく頼む」
 僕は彼(暫定的にこう呼ぶ事にした)の手を握り返すと、そう言った。
 もう二度と、平穏な日々を取り戻せないんだな。そう思うと、少し悲しくなって来た。
 悪魔や魔物、奴らを束ねる魔王に、貴族たるヴァンパイア。
 人間を喰らい続ける、闇の眷属たち。
 魔術師に錬金術師、獣の数字の体現者に、大罪の化身。
 闇を以って闇を征す、人間たち。
 闇と闇の闘いを前にして、非力な僕が、何か出来るのだろうか。
 目の前の彼に助けられなければ、
 ヴァンパイアの少女と出会った日に、既に死んでいたであろう、僕に。
 そんな僕の心を読んだのかのように、彼は告げた。
「大丈夫、最初から何もかもが上手くいく人など、滅多にいません。
 僕だって、最初は失敗ばかりして、怒られてましたから。
 少しずつ、力を付けていけば良いんです」
 ……ふぅ、まったく。
「時々心配になるんだが、僕の心を読んでないだろうな」
 僕は顔をしかめてみたが、変わらない微笑が返ってくるだけだった。
「僕たちは、貴方に期待してますから。貴方には、契約者になってもらおうと思います」
 ――契約者?
「そんな用語は初めて聞いたが、どういう意味なんだ?」
 内心、警戒しつつ問いをしてみても、変わらない微笑を浮かべたまま、僕を見つめてくるだけだった。
 
 
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「ごめんなさい、私、そんなつもりじゃ……」
 横たわる私を前に、シャルロットは泣き続けていた。
 やめてよ、もうお別れなのに……ねぇ、笑ってよ。
「私、怖かったの。“現実”に戻るのが……“真実”に向き合うのが、どうしようもなく怖かったから
 ……だから私、ハロウィンを守ろうって思ったの」
 うん、知ってる。前に話してくれた事有ったの、私覚えてるよ。
「でも、いくらハロウィンが消えなかったとしても、あなたが消えちゃったら、意味が無いの!!」
 ……アリガト。でもごめん、もうそろそろ時間みたい。
 大丈夫、きっと“私の事も忘れて、新しい意味を見つけられる”筈だから。
 だから、さよな―‐。
「私、絶対にあなたの事、忘れないから!!
 だからお願い、消えないでよ!!
 あなたと居られるなら、私、ハロウィンなんて――」
 
 私の意識はそこで、光に飲まれて消えた。
 
 目を覚ますと、見覚えの無い墓地に、私は横たわっていた。
 立って辺りを見渡しても、誰もいない。
 何だか頭もぼんやりするし……ここ、どこ?
「ここは“現実”ですよ、青い髪のお嬢さん」
「きゃあ?!」
 さっきまで誰も居なかったはずなのに、いきなり背後から声を掛けられたものだから、
 思わず悲鳴を上げてしまった。
 慌てて振り向くと、魔術師のような格好をした少年が立っていた。
 口元に牙が見えるから……ヴァンパイアのコスプレなのかな?
 彼はスタスタと私に近付いてきて、そのまま横を通り過ぎると、夜空を見上げて呟いた。
 ――あれ、この長髪、どこかで見た気がする。
「盛者必衰、ですか。物事の始まりは、終わりの始まりでもある。
 誰もがいつかは死に、殆どの人は、思い出される事すら、無くなっていく」
 そう言うと彼は、顔だけ私に向けて、寂しそうに微笑んだ。
 どうして、そんな話をするの?
 どうして、そんな顔をするの?
 そもそも、貴方は誰なの?
「僕も、そう。夢の紡ぎ手は、夜明けと共に泡沫(うたかた)のように消え、記憶の海へと沈んでいきます。
 僕が誰かなんて、思い出す必要は有りません。
 所詮僕は、紛い物に過ぎないものしか、作れませんでしたから」
 パチン、と彼が指を鳴らすと、不意に私の体が光りだした。
「な、何?!」
「“彼女”の元まで、送ってあげますよ。青い髪のお嬢さん、
 不器用なりに覚悟を決めたあの娘を、どうか守ってあげてください」
「それってどういう――」
 なおも話を続けようとしたけれど、閃光に遮られてしまって、何も言えなくなってしまった。
 恐る恐る目を開けると、紫の髪をツインテールにまとめた少女が、泣きじゃくってる後ろ姿が見えた。
 場所も墓地じゃなくて、どこかの公園みたい。
 少女に声を掛けようか、どうしようか迷っていると、
 気配に気付いたのか少女が私の方へと振り向いて……。
 
 目と目が合い、私は全てを思い出した。
 
「シャルロット!!」
 
 再び彼女に会えたのが嬉しくて、私は迷わず彼女に抱きついていた。


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「リ、リコリスちゃん、ちょっと来てっ!!」
「どうしたの、こんな時間に?」
 折角いい夢を見ていたのに。
 夜なんだから、寝かせてよねっ。
「えと、その、あのね……ゴニョゴニョ」
「え、よく聞こえないよ? どうしたの?」
「う~、あのね、おトイレに付いてきて欲しいのっ!! オバケ出そうで怖いの~」
「…………もう、しょうがないなぁ」
 ホント、アプリコットったら、甘えん坊さんなんだから。
 
 無事にお花摘みが済んで、ベットに戻る途中、嬉しそうに言うアプリコット。
「付いてきてくれて、ありがとっ」
 はにかむ彼女は可愛いけれど……これだけは言っておかないとね。
「美味しいからって、ジュース飲み過ぎるからよ」
「……美味しすぎるのがいけないんだもん」
 拗ねる彼女も可愛い、け、ど。
「少しは我慢することも、覚えなさい」
「……ごめんなさぁい」
 しょぼくれる彼女も、彼女も――。
「もう~、アプリコットったらっ、可愛いっ」
「ひゃあ、何でほっぺスリスリするの~?!」
 いけないとは思いつつも、結局は彼女を愛でてしまう、私なのだった。
 ……アプリコットが可愛いのが悪いのよっ!
 私は悪くないもん!
 
 寝室に戻って、おやすみと言ったのだけれど。
「一緒に寝ちゃ、だめ?」
 枕を持ってきたアプリコットを前に……断れるはずもなくて。
「良いわ、おいで?」
 結局今日も、アプリコットを抱き枕にしてしまうのだった。

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総括:もうこれをこのままノベルにしたほうが良かったのではないか。
――だって、女の子はちゃんと可愛いし、ブラウニーは雰囲気イケメンすぎだし。

(´・ω・`)<重ね重ね、オロチ丸さんありがとう~!!
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