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無茶子の自作ノベルゲームに関する情報ブログです。

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コンパス×HTS『幸せの鶴』

久々の更新ですが……!
オロチ丸さんの想像SSに続いて、
また別の方から素晴らしき頂き物をしたので紹介したいと思いますv
こんな風に作品を色々いじってもらえる私は幸せ者~!(´▽`*)

今回はゆのはさんにいただいたSSなのですが、
ゆのはさんの愛すべきオリキャラ:不遇系男子☆陸くんとコラボさせてもらってます!
(不遇系男子☆は私が勝手に着けたキャッチフレーズだよっ!←)笑
幸薄い彼に幸福あれ~!ということで、彼が美菜奈ちゃんのお家を訪ねてくるお話ですv
一番の見所は杏子と陸くんのかけあいだと思います……v
和むわ~(´ω`*)

▼ゆのはさん家のオリキャラちゃんたちのtwitterアカです。
@ynh_friends
陸くんも時々喋ってくれるのよ!

では、すばらしきSSは続き展開でどうぞ!
ゆのはさん、ありがとうございました~v
確か、この辺のはず。
陸は慣れない町に来たせいで道に迷いかけていた。
目指しているのは、1軒の家。
確か、「名波」って苗字の人の家だ。
乱雑に描かれた地図とスマホとカンだけを頼りにここまでこれたというのも、ある意味奇跡。
あとちょっとだろうな。
あまり不安に思わないことにして、歩みを進めた。

事の始まりは、作者がオレにかけた一言だった。
「オマエさー、ニューフレンドがほしいとか思ったりしてない?」
「にゅー……いや、日本語で頼むよ」
「そんなキミに朗報! ほら、地図。 ここ、行ってみたら?」
渡されたのは、暗号と汚い絵で構成された地図(らしきもの)と、「桜木 翼くんへ」と汚い字で書かれた封筒、そして、作者のtwitterアカウントの画像になっている絵。
「あ、どーも……で、アポとかとって……」
「ないな。 突撃訪問ってヤツだ」
「ちょ……! アポくらいとってくれよ!?」
「だぁいじょうぶだって! みんないい人ばっかだから! とりあえず、その手紙を宛名のヤツに渡せばオッケーだから」
作者は笑いながら部屋の出口に向かって行ってしまった。
部屋を出る直前、振り返って一言。
「あ、そうそう、場合によってはオマエのダチよりヘンなのがいるかもだから、気を付けとけ、念のため」

……着いた。
表札の「名波」の文字。 間違いない、このデカい家だ。
「デカい家……」
「おっきいよねー! 杏子もさいしょはびっくりしたのー!」
横斜め下あたりから声がしたので、そちらを見る。
女の子だ。 オレンジ色の髪をした、かわいらしい子である。 そして、どこかで見たような気がする。
「……え、えーっと、キミ、誰?」
「杏子だよ! ここのおうちにすんでるの!」
「ああ、この家の子なんだ」
ん? あんず……?
なにかが頭をよぎったので、記憶の海をあさってみる。
「……あ、も、もしかして、キミってさ……」
「なあに?」
屈託のない笑顔。 間違いない。
「ちょっと前まで、『アプリコット』って名前だった子?」
「へー、よくしってるね! そういえば、おにいちゃんもどこかでみたことあるきがするよ?」
あー、そういうことか……それで、あの作者……。
「あの、オレ、陸っていうんだけど……twitterでたまーにしゃべったり……するよな?」
「んー、おぼえてないの」
「え……」
軽くショック。
まあ、いろんな人が彼女のつぶやきに答えているのだ、ムリもない。
「おうちにようなの?」
「え、ま、まあ、そんなとこ? この手紙をこの家の、桜木 翼くん? ……作者、字汚くて読みづらい……」
「翼くんにおてがみ?」
「そう……ここに住んでるらしいって聞いて」
「翼くんのしりあい?」
「えー……しらない……けど……あ、そうだ、これ、見せればいいのかも」
手紙と共に渡された絵を杏子に見せる。
「……あ! これしってる! よくへんなことつぶやいてるひとのマーク!!」
……オレは忘れられてるのに、アイツは覚えてもらえてるのか……ヘコむよ、それ。
「おもいだしたの! おにいちゃん、よくおともだちにいじられてる陸おにいちゃんでしょ!?」
「ま、まあ、そうだけど、その前ふりいらないよ」
なんだろう、この切なさ。
「陸おにいちゃんなら、たぶんはいってもだいじょうぶだとおもうの」
そういって、背伸びしながら門を開ける。
「おいで!」
彼女につれられるまま、家の中に入った。

「あら、杏子。 遅かったわね。 ……この人は?」
「陸おにいちゃんだって。 おともだちにあそばれちゃってるひと」
「あの……それ、悲しくなるからやめて……」
「彼がそうなの? 無茶子さんから時々聞いてたわ、あなたのこと」
笑顔が素敵な、優しそうな女性だった。
「私、名波 美菜奈。 杏子ちゃんは、自己紹介したのかしら?」
「したー」
「わざわざこんなところまで来るなんて、何か大切な用があったんじゃないかしら?」
「用ってほどでもないけど、ウチの作者から、この手紙を渡せって」
「私に?」
「翼くんにだってー」
「あら、翼くんなら、もうすぐ帰ってくるはずよ。 外、寒かったでしょう? 家で温まっていくといいわ」
「え、いいんですか?」
「構わないわよ。 無茶子さんも、あなたのことを気に入ってるみたいだし」
「そと、すっごくさむかったよ。 あったかいミルクがほしいなー」
「ふふっ、わかったわ。 陸さんも杏子ちゃんも、座って待ってて」

目的の人物が帰ってくるまで、思ったよりかからなかった。
「ただいま、フローラ、杏子」
「おかえりー! きょうは翼くんにおきゃくさんがきてるよ!」
「お客さん? ぼくに?」
杏子が彼の袖を引っ張って連れてきてくれた。
「あなたが、お客様ですか?」
「あ、ああ、まあ、そんなとこです、はい」
少し欝っぽい雰囲気だが、誠実そうな少年だ。
「このひと、陸おにいちゃんだってー。 無茶子おねえちゃんのおきにいりのひとー」
「ああ、お話は聞いたことがあります。 僕は桜木 翼」
「はじめまして。 オレは吉本 陸です。 さっそくなんだけど……これ」
「……手紙、ですね」
「あー、その、字が汚くて読みづらかったら、言ってくれれば解読しますよ?」
「大丈夫です、なんとかしてみます」
封を切り、便箋を取り出す。
「うわー、へたくそなじー」
覗き見する杏子。
少しして、彼は杏子の方に向き直った。
「杏子、ちょっとお話があるんだ」
「なになに!? たのしいおはなし!?」
「お話……というより、お願い、かな」
彼は陸に「少し待っててください」とだけ言うと、杏子と共に違う部屋に向かった。
「?」
「お手紙は、渡せたかしら?」
「あ、はい。 ちょっと待っててくれって言われました」
「なんて書いてあったのか、ちょっと気になるわね。 でも、人の手紙をのぞくのはよくないし、そんなに悪い内容って雰囲気でもなさそうだったし、様子をみましょう」
「そうですね。 あ、このクッキー、すごくおいしいです」
「ありがとう。 手作りなのよ」
「へー……レシピとか、もらえたり……します? あ! 秘蔵のなんとか、みたいなのだったら別にいいんで!」
「遠慮しなくてもいいのよ。 ちょっとまって、今書いてあげるから」
「持って帰って、作ってみます。 まあ、オレなんかより麻美の方がきっと上手に作るだろうけど……」
「そんなに凄いものじゃないから、大丈夫よ。 頑張って作ってみて?」
「はい!」

美菜奈さんからもらったレシピを読んでいたら、2人が戻ってきた。
今度は、少し時間がかかった気がする。
「おにいちゃん! はい、これ!!」
「……これ、鶴?」
手渡されたのは、折鶴だった。
「えへへ~、杏子、がんばっておったの!」
「最近の子どもって、こんなに折り紙上手いのか?」
「よく、僕のために折ってくれたんです、鶴。 出会った時も、入院してた時も……」
「……そう、なんですか……。 でも、なんで鶴? しかも、オレのために」
「おてがみに、そうかいてあったんだって」
「手紙? あの汚い字の?」
「無茶子さんからもうかがっていたのですが、あなたもかなり苦労しているそうで……せめてものねぎらいもかねて、“幸運のお守り”である折鶴をあげてほしい、と」
「幸運の、お守り、なんだ……」
「あら、折鶴ね。 彼女の折鶴を持っていたら、近い将来幸せになれると思うわ」
美菜奈さんもやって来た。
「それと、『もしよかったら、陸と友だちになってやってください』とも……」
「……友だち?」
「ちょっと字が汚くて読めなかった部分もあるんですが、いろいろと気が合うんじゃないかって」
「そ、そんな気遣い、あの作者にできたんだな……」
「翼くん、陸おにいちゃんとおともだちなの? じゃあ、杏子もおともだちなの!!」
「あら、私は仲間外れかしら?」
「そんなことないの! おねえちゃんも、みんなおともだちなの!!」
「でも……僕なんかで、本当にいいのかな……?」
翼はちょっと自信なさげなようだ。 実をいうと、陸もあんまり自信はない。
「え、そんな! いいに決まってるじゃん! ってか、こっちこそ、オレなんかでいいんでしょうか、って感じだし……」
「なんかふたりともにてるー」
「そうね。 それに、翼くんも陸さんも、すごく優しくてしっかりしてるのに、せっかくのチャンスがもったいないわよ」
「……そうだね、フローラの言うとおりだよ。 せっかくここまで来てくれたのに」
翼が少し明るくなったように見える。
「もしよかったら、よろしく」
「こっ! こちらこそ!! ……あぁ、キンチョーして手が汗で……」
陸が手を拭いてから、握手を交わす。 思わず笑顔がこぼれた。
「鶴、大切にするよ。 翼と、杏子と、美菜奈さんの、気持ちがこもった鶴だからさ」
「うん! おにいちゃんのふこうもどこかいっちゃうはずだよ!!」
「杏子の鶴があれば、きっと大丈夫。 僕が保証するよ」
「それじゃあ、そろそろ晩ごはんにしましょ? 陸さんも食べていく?」
「あ、いいんですか!? じゃあ、みんなでご飯にしましょう!!」
みんなで食事の用意をする。 いつもより楽しいひと時が家に漂い始めた。


おしまい
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